確定申告書で銀行員はどこをチェックする?住宅ローン審査の合否を分ける意外な項目

STEP1:現状把握(今の自分の可能性を知る)

「所得は300万円以上ある。税金もちゃんと払っている。これなら住宅ローン審査は通るはずだ。」

そう信じて確定申告書の控えを銀行に出す個人事業主は多いですが、現場の感覚はもう少しシビアです。

実は銀行員は表紙の所得金額よりも先に青色申告決算書の2ページ目・3ページ目をじっくり見ます。なぜなら、所得の数字は節税テクニックである程度コントロールできますが、その裏にある事業の実態は内訳を見れば隠しにくいからです。

本記事では元不動産実務者としての視点から、提出した確定申告書3期分のどこを最初にチェックされるのか、審査の現場で使われている3つのポイントを解説します。

所得額より先に見るのは売上の推移

銀行員が3年分の申告書を並べて最初に確認するのは、単年の所得額ではなく売上と所得の推移です。

右肩下がりの売上は要注意

所得が同じ300万円だったとしても、売上が500万 → 400万 → 300万と下がっていた場合、銀行は事業が縮小傾向にあると見ます。

長期の住宅ローンを組む相手としては慎重になり、希望額いっぱいではなく安全ラインまで借入額を絞られることも少なくはありません。

一年だけのドカンと増収も評価は限定的

逆に、3期のうち1期だけ売上や利益が大きく伸びている年があっても、その数字だけで審査してくれることはありません。

多くの銀行は、3期の平均値、あるいは一番低い年の所得をベースに返済能力を見積もるため、たまたま良かった年に合わせたローン計画は危険だと判断されます。

決算書2ページ目の「地代家賃」と「支払利息」

売上の推移の次に見られるのが、青色申告決算書2ページ目にある経費の内訳、とくに「地代家賃」と「支払利息」です。

地代家賃の内容と住所の整合性

自宅兼事務所のケースでは、家賃をどの程度事業経費として計上しているかで公私の区別の仕方が透けて見えます。
また決算書に出てくる住所と、住民票・本人確認書類の住所が異なる場合は、どちらが実態なのかを確認されることもあります。

支払利息から分かる「隠れ借入」

決算書に支払利息が載っているのに、住宅ローンの申込書には「借入なし」と書いてあると銀行側はどこかに借入があるはずだと考えます。

事業融資や日本政策金融公庫の借入は個人の信用情報機関に出てこないこともありますが、決算書の支払利息欄にはしっかりと反映されるため、そこで食い違いがないかをチェックされるというわけです。

減価償却費と青色申告特別控除は「足し戻し」されることも

一方で、自営業者にとってプラス材料になるのが減価償却費や青色申告特別控除の扱いです。

減価償却費は現金が出ていない赤字

減価償却費は、車や設備などの購入費を少しずつ経費にしているだけで、当年に現金が出ていく支出ではありません。そのため、多くの金融機関では「所得+減価償却費」を実質的な返済能力として評価し、申告上の所得よりも高く見てくれるケースがあります。

青色申告特別控除も評価に含まれることがある

最大65万円の青色申告特別控除も、実際には手元資金を減らさない節税です。金融機関によってはこの控除額も含めて「足し戻し評価」を行い、実態に近い年収として扱ってくれる場合があります。

貸借対照表の「貸付金」は要注意

最後に、貸借対照表(B/S)にある貸付金の項目も見逃されません。

事業資金の私的流用と判断される可能性

貸付金として、事業主本人や家族、知人へお金を回している形になっていると、事業のお金をプライベートに流していると受け取られることがあります。銀行は会社のお金と個人のお金をきちんと分けて管理できている人を好むため、公私混同の印象が強い貸付金はマイナスポイントになりやすいです。

まとめ:確定申告書は出して終わりではない

銀行員は確定申告書3期分の数字を単に眺めているわけではなく、売上の流れ、経費の内訳、公私の区別の仕方から、あなたの事業の実態とお金の扱い方を読み取ろうとしています。一度提出した決算書の数字は、あとから「実はこういう事情で…」と説明しても簡単には覆りません。

住宅ローンの審査に挑む前に、どこをどのように見られるのかを知っている第三者にチェックしてもらうことで、伝え方を整えたり、必要な説明資料を準備したりすることができます。もしここ3期分の売上推移や経費の内訳、貸付金の記載などに不安があるなら申し込み前のタイミングで一度立ち止まり、自分の決算書が銀行員の目にどう映るのかを確認してみてください。

タイトルとURLをコピーしました